アルツハイマー病

日本のアルツハイマー型認知症の患者は推定100万人。脳血管性認知症の患者より2.5倍くらい多い。認知症は、65才以上の10人に1人は発症すると言われるほど、高齢者に多い病気だが、最近は18歳~64歳の若年の認知症(アルツハイマー)が増えていると言う。正確な統計はないが、10万人はいると言われている。65才以上の老年痴呆に比べて人生の活動期だけに始末が悪い。今や、アルツハイマー病は高齢者だけの老化による病気ではなく、極端な言い方をすればどんな年齢でも起こりうる。ただ、高齢化が進むにつれて患者が益々増える事は間違いなく、根本的な治療法の確立が望まれている。従来、かかったら治らないと言われてきたアルツハイマー病だが医学の進歩により目覚ましい成果が次々と発表されており将来が期待される。良い治療法が確立するまであと3年、何とかアルツハイマーにならないでいたいものだ。それまでは、1日20分、週2回の有酸素運動、バランスの良い食事、趣味等で脳をせいぜい刺激しておこう。尚、このHPではアルツハイマー病を中心に、広く認知症全般を解説する。最近の研究で認知症と似た症状を呈するが、大人のてんかん(子どものてんかんより多い)によるものがあることが分かり、アルツハイマーの薬では治らないが、抗てんかん薬を使うと80%の人は症状が軽快することが分かり、正しい診断が重要である。

■アルツハイマーとは

認知症の50%はアルツハイマー型、20%が脳血管性、レビー小体型が20%と言われている。

アルツハイマー型はβアミロイド蛋白と言われる蛋白質が脳の神経細胞に蓄積し、神経細胞が破壊され脳が萎縮することにより脳機能が低下するもので、脳の血管が詰まる脳血管性痴呆と区別される。痴呆の原因として一番多いのがアルツハイマーで半分以上を占める。次いで、脳血管性痴呆で30-40%。高血圧や脂質異常症を治療し運動・睡眠など生活習慣を改善することにより予防したり、進行を抑えられる脳血管性痴呆と違って、アルツハイマーの場合、生まれつき異常な遺伝子を持っているものなので、最終的にはぼけるしかない。症状を一時的に軽くは出来ても進行をくい止める事はまだ出来ない。最近の若者は魚(DHA)の摂取が少ない傾向にあり、老年になってからアルツハイマーを発症する人が増える事が危惧される。

アルツハイマー病の経過:

「人や物の名前を忘れる等の記憶障害」→「日付が分からなくなる、お金の管理が出来ない、薬の管理が出来ない等日常の生活に支障が出てくる」→「自分がいる場所が分からなくなる、徘徊を始める、介護が必要になる」→「自分の妻や子供など人物が分からなくなる」→「寝たきりになる、施設介護が必要になる」と数年~十数年かけて進行するのが特徴。人の名前や物の名前が出てこない等年齢の割に物忘れが目立つものの、料理が作れる、身だしなみを整える等認知機能に障害が無く、生活に支障がない場合は「軽度認知障害」と言い、「認知症」とは診断されません。しかし、放っておくと1年に10%が認知症に移行すると言われていますので、運動や食事を工夫して認知症への移行を遅らせることが大切です。


軽度認知障害(MCI)が最初に起きるが、この段階での対処次第で、アルツハイマーに移行する人と、アルツハイマーにならない人がいる。ど忘れや、物の置き忘れは日常生活にはほとんど支障がないが、最近の出来事を忘れるとか、少し前の記憶が非常に悪くなるとか、物忘れが年齢相応を超えているとか、物忘れがどんどんひどくなるようなときは要注意でアルツハイマーに移行する恐れがあるので医療機関を受診しよう。

■アルツハイマーの前触れ (初期症状)

認知症(痴呆症)と診断される6~7年前から色々な初期症状が始まる事が多い。 初期には、車の運転や金の計算などは出来るのに、少し前の事を忘れるのが特徴。この物忘れは初期段階では本人も自覚している。だから、病院でも先生の質問に対してその場を取り繕うことが出来るので、よほど巧妙に質問しないと医師もアルツハイマーの始まりを発見出来ないことが多い。
老化による物忘れの段階から、アルツハイマー病に移行する迄の間に、「軽度認知障害」(MCI)という予備段階が存在する事が分かってきた。軽度認知障害になった人の50%程度が将来アルツハイマー病に移行すると言われている。軽度認知障害では、記憶力が低下するが、日常生活は支障なくできるので周りの人でも発見するのが困難。ただ、この軽度認知障害の段階で対策を考えればアルツハイマーへの移行もかなり阻止できるので、早期発見の必要性が高まっている。→早期発見の新兵器は「SPECT」(アルツハイマー病に多く見られる脳の帯状回後部の血流が低下していないかを検査するもの)
最も初期の症状は学習能力が落ちて新しい事を覚えていられないこと。論理的な思考力がなくなると言われる。 最近のことをすっかり忘れて全く思い出せないのは、海馬が壊れて記憶が定着しないもので要注意。
物の名前や人の名前が出なくなる。ただ、すっと出てこないだけで、ヒントを与えると思い出したりする場合は記憶機能は壊れていない証拠でこれは良性の物忘れのことが多い。
目標に対してプランを立てたり、スケジュールを立てたりすることが出来なくなる。 家事や仕事の段取りが上手く出来なくなるのが最初の徴候。例えば、お皿をうまく片づけられない、調理の手順を間違える、冷蔵庫の管理が出来なくなる(空っぽになったり、逆に、同じ物を重複して買ってきたり)、着物をうまくたためない、字が下手になった、捜し物が多くなる、ガス栓などの閉め忘れ、飲み薬の管理が出来ない、身だしなみがだらしなくなり、おしゃれをしなくなった、風呂に入らなくても平気、駅で切符が買えない、いつもの道を間違える、同じことを何度も言ったり聞いたりする、置き忘れやしまい忘れが目立つ等々が初期に出る。
短気になる。些細なことでもすぐに怒るようになる。
物をどこに置いたか忘れることが多くなった
相手の話を聞いている時に、同時に自分が言うことを考えることが出来なくなる。 他人との会話が上手く行かない。
好きな事でも関心がなくなる、日課をしなくなる。 元気が無く憂鬱な感じになる。あちこち身体の不調を訴える。料理を作るのが面倒になったり、品数が減る。
お金や物品を盗まれたと言うようになった。

■アルツハイマーの症状

何度も同じ事を言う、同じことばかり聞く、何度も同じ事をする、置き忘れやしまい忘れが目立つ、化粧、料理や買い物をしなくなった、以前は熱中したことに興味や関心を示さなくなった等はアルツハイマーの始まりの事が多い。半年も同じ事が続くようなら物忘れ外来を受診したほうがよい。
少し前のことを忘れる。聞いたばかりの事を忘れる。
「電話をかける」等自分が主体的に関わったことを忘れてしまい、人から指摘されても思い出せない。このような物忘れは要注意。
物忘れが徐々に激しくなるが、自分ではあまり意識しない。(聞いたことを直ぐに忘れるとか自分がやった事を覚えていない等新しい記憶が定着しないのが特徴。覚えた事でも少し時間がたつと忘れる特徴がある。人か指摘されても思い出さない。)
⇒顔は分かるのに名前が出てこないとか、テレビでよく見るタレントの名前を思い出せないとか、別の部屋に行って、何をしに来たのか分からなくなり、元の部屋に戻って考えたら思い出す、漢字を忘れて辞書を引く、物をどこに置いたか忘れた、昼ご飯に何を食べたか思い出さない等知っているのにその記憶が取りだしにくいのは加齢に伴う良性の物忘れ。 アルツハイマーの場合は一部の記憶消失ではなく、関連する事を含めてごそっと記憶が抜け落ちる特徴がある。 だから、昼ご飯を食べたかどうか、トイレをしたかどうか等を忘れる。記憶がすっかり抜け落ちてしまう。従って、他人がそのことを指摘しても思い出さない。
家族が分からなくなる。
進行すると理解力や判断力が低下する。⇒自分の居場所が分からなくなり迷子になる、食事が順序よく作れなくなる
アルツハイマーに似た症状の病気は多い。鬱病、脳腫瘍、多発性脳梗塞、慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、飲酒、栄養不良・貧血など。これらの病気の中には完治するものも多く、そうではないかと疑ってこれらの病気との鑑別を行う必要があり、物忘れなどがあるからと言ってせっかちに診断を下すのは危険である。アルツハイマーとは違うのだが、高齢者がかなりひどい貧血になると痴呆の初期に似た症状が出ることもあるので、血液検査が必要。ヘモグロビン値の正常値は男性13グラム、女性12グラム以上。
アルツハイマー病を発病した場合、自分自身を自覚している期間はおよそ10年程度と言われる。
アルツハイマー病は物忘れで始まることが多いが、稀に、物忘れよりも、怒りっぽくなるとか性格の異常から始まることもあり、周りの人もアルツハイマーではないかとは気づかないことが多いのが問題。
加齢による良性の物忘れ 病気の認知症(アルツハイマー、痴呆症)
物忘れは一般に加齢に伴い起きる良性の変化。一般に60才を過ぎると衰えてくるが、65才を過ぎると益々物忘れが多くなる。 治療を要する病気
昼ご飯に何を食べたか思い出せない、テレビで良く見るタレントの名前が直ぐに出てこない(名前は忘れて出てこなくても、テレビドラマに出ていたとか、どんな役で出ていたとか、コマーシャルに出ていたとかは覚えているような場合は良性)、とっさに言葉がでてこなくて言葉につまる、ものを置き忘れる、同じ物を二度買う等。ヒントを与えれば思い出すのは良性のことが多い。記憶には短期記憶(体験したことを一時的に保存するもの)と、長期記憶があるが、良性は、長期記憶を上手く取り出せないもの。 昼ご飯を食べた等体験した事を忘れてしまう、数分前のことを忘れる。同じ事を何度も聞いたり、質問したり、自分が話したことを忘れ、何度も同じ話をしたりする。
※加齢による物忘れの場合は、ヒントがあれば思い出す事が出来るが、認知症の場合はヒントを貰っても思い出せない。
30分前のことなら思い出さないことはない 30分前の体験を忘れてしまったり、今さっき聞いたばかりのことまですっかり忘れてしまうことがある
物忘れや記憶力の低下を自覚していて、自分は認知症ではないかと心配する 本人は物忘れの自覚に乏しく気にもしていない。家族がおかしいと気づいてしばしば指摘する
今日の日付や曜日、今いる場所は分かる 今日が何日か、何曜日か、住所等を忘れる。帰り道を忘れる、どこにいるか分からなくなる
進行性はあまりない 年単位でゆっくり進行する。10年程度経つと一日中ぼけーっとして物を言わなくなる。最後は寝たきりになるのが多い。
判断力はほとんど落ちないので日常生活にそれほどの支障はない 判断力が低下する。忘れたことを自覚しなくなるので日常生活にも支障が起きてくる。
炊事、洗濯、掃除などは今まで通りできる 料理の品数が減ったり、今まで出来ていた料理の作り方を忘れたりする。最終的には料理を作らなくなる。
心配になるので自分自身で病院に行く 家族に付き添われて病院に行く事が多い

■アルツハイマーの原因

アミロイドβたんぱくという異常物質が脳に10-30年かけてたまり神経細胞が死滅する。東京大学大学院薬学系研究科の松木教授らのチームで、2002年、脳内のβアミロイドが神経細胞間の情報伝達を妨げている事を突き止めた。新薬開発に期待がかかる。
老人班というシミが出来る。脳に炎症が起きて神経細胞が死滅する。⇒抗炎症薬が脳の炎症を止め、老人班があっても、アルツハイマーの発症を抑える作用がある。
2010.9.5付け読売新聞の報道によれば、食後血糖値が下がりにくい糖尿病の人はアルツハイマーの原因とされる老人斑が出来やすい事が岩城九州大教授等の研究の結果分かったという。記事によれば、福岡県久山町住民の長期追跡調査のデータを解析。1988年に検診を受け、98~2003年に亡くなった男女135人(平均年齢79・5歳)について、糖尿病の危険因子と老人斑の関連を調べた。老人斑が見つかったのは88人。検診で食後の血糖値が下がりにくかった人は正常な人に比べ、老人斑が認められる割合が1・7倍多かった。老人斑ができやすい遺伝子の型を持つ人で食後に血糖値が下がりにくい人は、通常型遺伝子で血糖値が下がる人に比べ、38倍も老人斑ができやすかった。食事や運動などに気をつけて糖尿病を予防すれば、アルツハイマー病の発症を防げるかもしれない。
アルツハイマー病の患者の脳を調べたら90%の人にクラミジア菌がいることが判明した。クラミジア菌がアルツハイマーの原因菌であるかどうかは今後の研究課題。
アルツハイマー病の原因物質と考えられているたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」のうち、これまであまり注目されていなかった「Aβ43」が、アルツハイマー病の大きな原因となっていることを、理化学研究所などのチームが突き止め、ネイチャーニューロサイエンス(電子版)に2011年7月4日発表した。新たな治療戦略や診断法の開発に役立つ可能性があると期待されている。

■アルツハイマーになりやすい人

高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病はアルツハイマー病・認知症発症の危険因子。(たとえば糖尿病の人は健常者の2倍アルツハイマー病を発症しやすいとの調査結果がある) 高インシュリン血症の人は特に要注意。(インシュリンが増えると老人班が増えたり海馬がやられる)
高齢である人。男性より女性に多い。60歳を超えると多くなり、85歳以上では一段と増える。
頭を使わない人。
高学歴の人は進行が早い(発症しにくいが、一旦発症すると進行が早いとのこと)
1時間以上昼寝をする人。(昼寝は30分以内にすればアルツハイマー病の予防になる)
偏食の人はなりやすい。肉が好きで、特に緑黄色野菜(ブロッコリーや人参)や魚の嫌いな人は統計的にアルツハイマーが多い。
酒に弱い遺伝子の人は強い人の1.6倍なりやすい。(遺伝子の問題なので酒を飲む練習をしても効果はない)
どんな酒でもグラス3杯程度飲む人がアルツハイマーが一番少ない傾向がある。
喫煙はアルツハイマーになる危険度を2倍にする。
運動をしない人。ドイツでの研究によれば、運動をしない人がアルツハイマーになる確率を1とすれば、週2日、1回20分以上の有酸素運動をする人のリスクは0.38に減るという。軽いジョギングでよいからやること。 
アルミニウムの恒常的な摂取になるような事は控えた方が良い。
女性の肥満は危険因子。
魚をほとんど食べない人。
高脂肪食を過剰に食べる人
食事の量が少ない人。
水分の摂取が少ない人。
真面目な人。ストレスがある人。米国の調査では、クヨクヨ悩んだり、沈み込んだり不安に思うなど否定的な感情を持ちやすい人は、活発な人の2倍アルツハイマー病にかかりやすいと言われる。物事に悩む人は記憶力の減退が著しいと言われる。
物事を悲観的に考えたり、不安な気持ちや鬱傾向の人は将来認知症になる可能性が1.3倍高いと、米国メイY-クリニックが発表している。(2005/3)
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」を長期に服用している人。若返りや老化防止に効果があるとして期待されているエストロゲンを高齢者が服用し続けるとアルツハイマーや物忘れがひどくなる危険性が40%近くも高まると米国の研究チームが警告している。
町内の人とは挨拶以外の会話がない、同窓会には出ない、人の好き嫌いがはっきりしているなど社交性に欠ける人はぼけやすいので注意が必要。料理、旅行、楽器演奏などを積極的に行うのがよい。
遺伝性はほとんどないと言って良い。

■アルツハイマーの予防

アルツハイマー病を3倍、6倍なりにくくする予防術:(2010.9.22NHKあさイチで放送)
3倍なりにくくする予防法は「有酸素運動」軽いジョギングやウオーキングなど。汗が出る程度の運動を1日20分、週2回。
6倍なりにくくする予防法は「生活習慣病にならない食生活」で「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」を治せばアルツハイマーも逃げていくそうです。
☆軽いジョギングで脳が活性化すると認知症の予防になる、ウオーキングよりゆっくり走るスロージョギングがよいと、筑波大運動生理学征矢教授、福岡大学運動生理学田中教授。スロージョギングは時速4-5kmのニコニコペースで週合計2-3時間程度。カロリー消費はウオーキングの2倍で1分1キロカロリーになる。
血糖値が高い状態が長く続くと起きるのが「糖化」。糖化は万病の元。糖化を予防する食事のコツは、 「先に葉物野菜を食べること」、 「グレープフルーツ、みかん等の柑橘類を先に食べる」、 「サラダ・海藻・キノコを先に食べて最後に炭水化物を食べる」
のが有効。他に、カモミールティーが良いと言われる。→詳細はこちらを参照。リプトン カモミールハーブ アルミ 50袋

赤ワインを毎日2-3杯飲むと海馬の働きをよくして認知症予防、改善効果があることを名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授と原田直明准教授らのグループが突き止めた。赤ワインの中のポリフェノールの一種レスベラトロールの効果によるもので全てのタイプの認知症に効果が期待できるという。詳細はこちらを参照。赤ワイン2-3杯のレスベラトロール含有量は約5mgと言われる。

但し、赤ワインの飲み過ぎには注意下さい。「顔が赤くなる人が飲酒すれば食道がんのリスク77倍!」との研究もあります。→こちらを参照下さい。
サプリメントにより補充するのも一つの方法です。例えばこのようなサプリがあります。
国産サプリメントPUR レスベラトロール no.07
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にならないように注意する。特に腹部の脂肪を減らすことが重要。(男性はウエスト(へそ周り)85cm、女性は90cm以下に保つ事が大事) 2005/6 米国の研究で45才前後の人で内臓脂肪が多い人(ウエスト85cm以上)を追跡調査した結果、30年後には90%が認知症になったとの報告がある。1日の摂取カロリーが2500kcalを超えると多くなる。→高脂肪食をやめ、かろりーを制限すると良い。降圧治療は認知症の発症を遅らせる効果がある。
運動は認知症の予防に効果がある。一日30分程度の散歩で良いから毎日やること。これにより、脳血流の改善、血圧安定、血液中のコレステロール値の低下が得られる。理化学研究所神経蛋白制御研究チーム西動隆臣氏のグループでは、運動する→ネブリライシンが増える→アミロイドβを分解する→アルツハイマーの予防になるとの関連を動物実験などを通じて検証中。
膝曲げ運動:手は椅子に捉まり、膝を1/4程度屈伸して中腰になる膝曲げ運動を1日10回する(ゆっくりでよい)→高齢になって下半身の筋肉が弱って歩けなくなることを防止する。利根プロジェクトで使われている「ふりふりグッパ」運動も推奨される。
2011.8.9付け毎日新聞によれば、老化で減る脳の神経幹細胞を増やす仕組みを産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と筑波大の研究チームが解明し、8月8日発表した。運動をすると、特定の細胞から分泌されるたんぱく質の因子(Wnt3)が増え、これが起点となって神経が新生する現象をマウスの実験で突き止めた。うつ病や認知症の新治療法や創薬開発に役立つという。米実験生物学誌に掲載された。マウスにベルトコンベヤー上で毎日10分間2回ずつ走らせる運動を2週間続けたところ、運動前と比べてWnt3産出量は若いマウスで10~15倍、老齢マウスでは20~30倍と飛躍的に増えた。運動すると脳が活性化する事実は知られているが、老化で低下した神経を作る機能が復活し脳の「若返り」につながる仕組みを細胞レベルで解明したのは初と言う。
体を動かすことが予防によい。園芸やスポーツなどが特によいらしい。趣味の種類別では、男性は、庭いじりや家庭菜園などの園芸、寺社巡りなどの観光、楽器演奏などの音楽の順で認知症になりにくかった。女性はグラウンドゴルフやウオーキングなどのスポーツ、園芸、観光の順だった。 (星城大学(愛知県東海市)の竹田徳則(とくのり)教授(社会福祉学)の調査による。読売新聞2011.5.10付け記事より)
脳は使えば使うほど発達すると言われる。新しいことに意欲を持って取り組めば、脳は発達し、活性化する。脳は病気や老化で細胞が死んで減少してしまって、物忘れがおきるようになっても、普段の生活の中で脳に刺激を与え続けて、脳を活性化すると、生き残った脳細胞が機能を回復する事が出来ると言われている。

① その日の行動を思い出しながら日記を付ける。(字を書く事は脳の老化を遅らせる)
② 簡単な計算をする。(17+7=24,17-9=8等) スーパーのチラシを使って、食材を3,000円分購入する組み合わせをやってみるのも良い。(3分間で、金額はぴったり\3,000になること。例:\500x4個+\100x10個等)
③ 新聞や本を声を出して読む。
これらの事を一日10分程度で良いから毎日続ける事が重要。
「脳力トレーナー」というゲーム感覚で前頭前野を刺激する携帯型商品が発売されている。セガトイズ\5,250(2004/10発売)電子手帳サイズで液晶画面に次々に出題される足し算やかけ算に如何に早く正答するかを競う中で脳を活性化するという。

歯のかみ合わせが悪いと、アルツハイマー病の原因とされる「アミロイドベータ」と呼ばれるタンパク質が脳の海馬に増えることを岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授のチームがラットで突き止めた。アルツハイマー病はアミロイドベータが脳内に蓄積し、記憶障害を起こすのが一因とされる。チームは「歯が抜けたり、入れ歯が合わなかったりする人は、治療をすることでアルツハイマー病の予防や進行を抑えられる可能性がある」としている。「かみ合わせが悪いと脳に刺激が伝わりにくくなり、ストレスを感じて、アミロイドベータが増えるのではないか」と分析している。いずれにせよかみ合わせに注意が必要。(2011/9)
リウマチの治療等に用いられる非ステロイド系解熱消炎剤(イブプロフェン、アスピリン、インドメタシン等)を二年以上毎日服用するとアルツハイマー病の発病率が最大で80%も減少することがドイツの大規模臨床試験で判明した。アルツハイマー病の原因と言われるβアミロイドが脳内で生成するのを抑える結果であると推測されている。
食事:一日三食きっちり食べる。但し食べ過ぎない(腹八分目)。カロリーは抑えめにする。一日の摂取カロリーが2500kca以上の人は特に注意。①カレー(2週間に1度程度。朝又は昼カレーがよい。カレーを良く食べるインドでは認知症が日本の1/10)、②バナナ(1日1/3本)、③玄米入りのご飯と納豆、④コーヒー1日2杯(カフェイン)、⑤イモ、⑥こんにゃく、⑦青魚(1日80G)、⑧鶏肉(むね肉)、⑨ミカンやリンゴなどの果物(リンゴを皮ごと一日一個食べると発症予防になるとの米国の研究がある。抗酸化物質ケルセチンの効果)、⑩緑黄色野菜(1日350g以上)、⑪生姜、⑫緑茶1日3杯(カテキンが良い。出来れば煮出し緑茶がよい)、⑬甘いものは控える、⑭銀杏(一日3粒。食べ過ぎない)ことはアルツハイマーの発症予防に良いとされている。⑮海苔、⑯ブラックチョコレートが脳に良い。⑰カモミールティー(1日2杯くらい)
魚(サバ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、マグロ等)を週に1回以上食べる人は、ほとんど食べない人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクが60%減少するとの研究報告がある。DHAが効果があるらしい。
カレーの成分ウコンに含まれる「クルクミン」がアルツハイマー病の原因物質の生成を防ぐ効果があると言われる。事実、カレーを常食するインド人は米国人に比べアルツハイマー病の発症率が1/4と言われる。レトルトカレーでも効果がある。(金沢大神経内科教授 山田 正仁氏等の研究)
ビタミンE、葉酸、ビタミンB12、亜鉛を摂る。特に海苔がよい。海苔を毎朝食べると良い。葉酸は海苔、枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、大豆に多く含まれる。ビタミンB12はサンマ、サバ、海苔、シジミ、カキなどの多く含まれる。葉酸は血中のホモシステインを抑え、アルツハイマーや動脈硬化の発症リスクを下げる効果があるとされ、厚生労働省では1日240マイクログラムの摂取を薦めているが、発症リスクが高い人は400マイクログラムの摂取が望ましいとされている。亜鉛は有害な活性酸素を除去する作用がある。
無症候性脳梗塞がある人はアルツハイマーを起こしやすくなるとの研究もあり、脳梗塞を予防するのはアルツハイマーを防ぐのに効果がある。
酒に弱い人は活性差酸素による酸化のダメージを受けやすいので、アルツハイマーになる危険度が高く、酒を飲まない方がよい。一方、酒に強い人は適量呑めば発症を抑制出来る効果がある。但し、酒を飲んで騒ぐ人は呆けやすい。
肉より魚(特にサバ、鰯やカツオなどの青魚や脂身の少ない魚)が良い。魚中心の食事にする。DHA(ドコサヘキサエン酸)が脳の炎症を抑え痴呆の発症を防ぐ他、発症した人でもDHA剤の服用で改善する事が判明。1日1GのDHAの摂取が薦められる。⇒マグロトロなら2切れ、鯛の刺身なら5切れ、サンマなら1匹、イワシなら2匹に相当。DHAは魚にのみ含まれ、肉にはない。
家に閉じこもらないで出来るだけ外出する。新しい場所に行くのは脳の刺激になって良い。歩くことが脳の活性化につながり予防効果になる。
料理や園芸など趣味を持つ。旅行に行く、友人と遊ぶ、手芸やガーデニング、絵を書く、音楽を聞く、歌を唄う、踊る、碁や将棋をする、短歌や俳句を作る等は右脳を使うので特に薦められる。
多くの友人と話し合う。特に、初対面の人と会って話すのは刺激になる。おしゃれをする。家に閉じこもりテレビばかりを見ているのは危ない。友達の多い人ほどぼけにくいと言われる。
電卓に頼らず自分で暗算する。
ゲームをする(将棋、囲碁や麻雀)
指先を使う。特に左手。
20-30分程度の昼寝をして脳を活性化するとアルツハイマーの発症リスクが20-30%減る。(15分で足りない人は1時間。あまり長い昼寝はむしろ害) 
昼寝の効用: 昼寝は午後の作業効率を高める効果や事故防止に役立つ他、高血圧の予防にもなる。人間生理的に一日二回眠気が来る(強い眠気は夜12時、軽い眠気は昼2時頃)と言われる。従って、午後1時~3時前頃が最適。但し、寝過ぎると心拍や体温が下がって身体がだるくなったり、頭がぼーつとするので良くない。15~20分程度椅子に座って眠るのが良い。昼寝する直前にコーヒー(成分:トリゴネリン)、ココア又は緑茶を飲むと良い。カフェインが20-30分位したら効いてきて寝覚めがすっきりする。20分以上昼寝をすると脳は完全にノンレム睡眠という深い眠りに入ってしまうので途中で起きると不快感が出るので短時間眠るのが良い。横になって眠ると寝過ぎるので椅子に座って短時間眠るのが良い。身体を休めると言うより脳を休める目的。どうしても眠れない時は、5分間目を閉じているだけでも効果はある。1時間以上昼寝をするのは逆効果。かえって呆けやすくなる。
20分以上の散歩は脳を活性化して物忘れの予防になる。出来れば早歩きする。但し、30分を超えない。周囲の家や花や風景の変化を良く観察しながら歩くのが良い。目標は1日1時間、5千歩。散歩で5千歩歩けば、生活の中で3千歩は歩くので、8千歩程度にはなる。ウオーキングの他、水泳も非常に良い。
物忘れが目立ってくるようなら、早めに受診⇒物忘れ外来等
ストレスの除去。37-40度の温めの風呂に入る。ラベンダーの精油を1-2滴加えると効果的。その後30分程度ごろ寝をする。1日5回深呼吸(鼻で吸って、5秒止め、ゆっくり口から吐き出す) ストレスが多いとセロトニンの分泌が抑制される。
痴呆予防の最新研究:。米国アルバート・アインシュタイン大学医学部の研究(New England Journal of Medichine June 19,2003掲載)によれば、痴呆を予防するには、①週に数回トランプやチェス(将棋・囲碁)などのゲームをする(痴呆発生率0.26倍)、②楽器演奏をする(0.31倍)、③小説や新聞を読む(0.65倍)が効果的であるという。尚、「楽しみのために書く」「クロスワードパズル」「友人との話し合いに参加する」等は痴呆予防には効果がほとんど見られなかったと言う。一方、「ダンス」「家事」「散歩」等の身体的余暇活動については、ダンスのみに痴呆予防効果が見られたが、それ以外は顕著な効果は認められなかったと言う。
記憶を司る神経伝達物質はアセチルコリンで、その原料はレシチン。 認知症の予防に効果があるという研究結果がある。 レシチンを含む食材は卵の黄身、大豆製品(納豆、枝豆、油揚げ、おから、きなこ、豆腐など)
最近の報告では「抗コリン作用薬」を長期に服用すると、軽度の認知障害を引き起こす可能性があることが指摘されており、可能ならば休薬すれば回復するとのことで、服用の是非については充分な検討が必要。抗コリン作用は制吐剤、鎮痙薬、気管支拡張薬、抗不整脈薬、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、降圧薬、パーキンソン病薬、潰瘍治療薬、向精神薬等に含まれている。
2008年頃にはアルツハイマー0の特効薬「フロリザン」が米国で発売されると期待されている。
脳移行性のあるACE阻害剤やARBのディオパンでは、アルツハイマーの新規発症を抑制し、認知機能の低下を抑制する効果があると言われている。
アルツハイマーの発症予防には、特に下記が薦められる

頭を使う(新聞や本を声を出して読む、暗算で計算をする、日記をつける、食事を作る)
有酸素運動(1日30分の散歩、軽いジョギング、体操、水泳等)→脳内でネプリライシンが増えて、アミロイドβを分解する。
赤ワインを毎日2-3杯飲む。(酒の弱い人、顔が赤くなる人は注意→こちらを参照)
青魚(サバ、サンマ、イワシ等)や緑黄色野菜・果物中心の食生活、但し腹八分で食べ過ぎないこと(カロリー控えめ)
友人と趣味や笑いのある生活をしてストレスを発散する。何事にも意欲ややる気を持って生活する。(将棋・囲碁・麻雀・短歌・ダンス・唄・楽器演奏・ゲーム・・・)
30分の昼寝
糖尿病・高血圧の人は血糖値、血圧をコントロールする


■アルツハイマーの治療

「物忘れ外来」「痴ほう外来」のある外来を受診。順天堂大学順天堂医院のメンタルクリニックには65才以下の若年性アルツハイマーの専門外来がある。
中程度までならある程度の効果が期待できる薬が出てきた。早期発見・早期治療が重要。
現在は病気の進行を遅らせる薬しかない。アリセプト(塩酸ドネペジル)は1~3年記憶力低下を遅らせる効果がある。タクリン(コグネックス)は一時的に記憶力を高める。初期に服用すると30%程度の人は症状が改善する。アリセプトは横紋筋融解症による死亡例や食欲不振、幻覚等が報告されているので副作用の出現に注意すること。米国では進行を止める画期的な薬が治験中。(米国では4種類の薬があり、個々人の効き目に応じて選択できるが、日本では厚生労働省の後進性のせいで認められていない)
抗痴呆薬(塩酸ドネペジル) 記憶の障害が進行するのを抑える。初期に使わないと効果がない。効果は1~2年程度。進行を遅らすもので根本的な治療薬ではない。効果が弱いと服用をやめると急速に進むことがあるので休薬や服用を中止する場合は医師と相談。
「メマンチン」(商品名・メマリー) は既に海外68カ国で承認されているが、ようやく日本でも2011年6月から使用出来るようになった。アリセプトに次ぐ二番目のアルツハイマー治療薬となる。メマンチンは中等度、重度のアルツハイマー病の治療薬としてEUとアメリカで承認されている。副作用は頭痛、めまい。アリセプトとメマンチンの併用療法が効果があるとの報告がある。
米国や欧州各国で使用されているガランタミン(商品名レミニール)については効果があるとの判断から日本でも2011年2月に正式に認可され2011年3月発売された。また、リバスチグミン(ノバルティス ファーマ/小野薬品工業)も2010年2月に承認申請にこぎつけ2011年7月発売予定。但し、いずれの薬も無治療なら1-2年で進む症状悪化のスピードを3年ぐらいに遅らせる程度の効果があると言われている。
アルツハイマー治療薬のいろいろ:
アリセプト メマリー レミニール イクセロンパッチ、
リバスタッチ

アルツハイマー病治験薬のgantenerumabガンテネルマブ(モノクローナル抗体)は、患者の脳内のアミロイド斑(プラーク)レベルの低下に有用であることが、早期臨床試験で示された。アルツハイマー病患者において抗アミロイド薬としての効果が示されたのは今回が初めて。ただし、専門家は「同薬を安全または有効であるとみなすにはさらなる研究が必要である」としている。さらに、アルツハイマー病におけるプラークの役割が完全に解明されておらず、アミロイド斑レベルの低減が、同疾患に関連する記憶障害やその他の精神機能の低下を予防するとは言い切れないと警告している。(2011年10月10日/HealthDayNewsより)⇒今後の成り行きが期待される。
抗うつ薬、抗精神病薬も使われる。
総合ビタミン剤の服用。
進行を遅らせる有効な方法は「情緒の安定」 優しく応対し、決して誤りを責めたり怒ったりしない。“呆けてるのではないか?”とか、出来ないことを責めて怒るのはアルツハイマー余計に進行させることになり、むしろ逆効果である。指示や注意して欲しいことは紙に書いて貼っておく。出来ない、間違えるからと、一々怒るのが一番悪い。笑顔で接すれば症状は劇的に改善することが認知症の介護現場で確認されている。
イチョウ葉エキス(脳の血行促進):ドイツ・フランスでは末梢血管の障害や認知症の治療薬(第一選択肢)として使われている。国民生活センターのレポートにもあるように、副作用の報告もあり服用にあたっては信用すべきメーカーの製品を購入するようにしたい。特に、葉の抽出物を使用したものであること(葉の破砕物ではない)、ギンコール酸の含有量がドイツの基準5PPM以下の原料を使用したものであること等を満たした製品を購入したい。
DHA+EPA+リコピン+フラボノイドを含む食事が良い。
開発中のアルツハイマーの薬には、①γ-セクレターゼ阻害薬、②β-セレクターゼ阻害薬、③抗体療法、④非ステロイド系抗炎症薬がある。

現在、アルツハイマー病を根本的に治す薬の開発競争が激烈で、武田薬品やリリーでは新薬の臨床実験に入っており、数年以内の実用化を目指している。
国立長寿医療センター研究所(田平武所長、大府市)と名古屋大鍋島俊隆教授(医療薬学)などのチームはアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドを脳から取り除く新ワクチンの開発を進めている。マウスでの実験では、副作用なしに、発症後でもアミロイドが除去されて認知能力が戻ることが確かめられたと言う。今後、小人数の患者を対象にした臨床試験を開始するとのことで成果が期待される。(2007/3)
埼玉医科大総合医療センター(森隆準教授)では、臍帯血を静脈に注射することでアルツハイマーを予防できる研究を続けている。マウスによる注射では効果を確認していると言われ、今後の研究が期待される。(2008/5)
漢方薬の「抑肝散」は幻視、妄想、不安や抑鬱、暴力、徘徊を改善するのに効果があると言われている。(島根大学精神医学 堀口淳教授や東北大学などで研究が進んでいる) 
又、八味地黄丸は飲み続けるとアルツハイマー患者の認知能力が改善することが分かった。血の巡りをよくする効果がありこれが効いている結果と思われる。八味地黄丸も抑肝散も医師の処方箋が必要。保険は適用されない。
西八王子病院の説明では日本ヒーリング研究所の強力振動水流入浴療法で脳から強いストレスを除くことでアルツハイマーの治療になることが明らかになってきており今後の研究が期待される。
芸術療法(絵を描いて脳を活性化する)、音楽療法も早期に実施すれば進行を抑えられる事が分かって積極的に取り入れる施設も出てきた。
今までの生活の規則性、リズムを保ち進行を抑える。家事や仕事を続ける。
子供と一緒に勉強したり遊んだりする。子供の宿題を一緒に考えるのはとても良いこと。
一番悪いのは、特別待遇をして何もさせないこと。
アミロイドβが出来るのを抑えるワクチンの開発が進んでいたが、脳炎が起きる事例が出たため、治験が中止されたりしている。現在は、アミロイドβが脳内で作られないようにする薬の開発が進んでいる。
愛知県大府市国立療養所中部病院長寿医療研究センターの研究でアルツハイマーの原因物質と言われる「βアミロイド」を除去する新しいワクチンを開発し、マウスの実験では飲むだけで原因物質が除かれ副作用も少ないと報道されており、今後の研究が期待される。(2003/6)
理化学研究所・西動氏のグループでは病気を防ぐ脳内酵素の研究を進めている。ネプリライシンは脳内でアミロイドβを分解する作用を持ち、脳内でネプリライシンが少なくなるとアルツハイマーになりやすいことが分かっている。ネプリライシンは60才を過ぎると急に減ってくることが分かっている。ソマトスタチンに効果があることが分かり、アルツハイマーの薬に応用できると考えられている。これから動物実験が始まる。(2008/12)
東京都神経科学総合研究所松本陽参事研究員等のグループは、ミクログリアを活性化させる研究をしている。脳の中の細胞の一つミクログリアはアミロイドβを掃除する働きがある。DNAワクチンを投与するとミクログリアが活性化して アミロイドβが70%も減ることが分かった。現在臨床試験の準備中。3年後に薬の投与が始まる。非常に長期間に 投与することになるがDNAワクチンはそれにかなっていると言う。(2008/12)
その他、アミロイドβのを作る酵素の働きを止める薬の研究、アミロイドβに対する抗体だけを人工的に作る抗体医薬の研究が進んでいる。
米国では認知症症状が出現する前の、もっと早期から病気の過程をとらえて治療を行っていこうとする発症前治療が進められている。
発症前治療を行うには、病気の進行過程を示す客観的な評価方法を確立することが必要で、現在測定が試みられているバイオマーカーは、MRIによる脳容積(脳の萎縮)の測定、PETによる脳代謝やアミロイドβ蓄積のモニタリング、脳脊髄液中のアミロイドβ(Aβ1-42)、タウなどがある。今後の推移に注目したい。
2010.12.6のNHKあさイチでも放送されましたが、鳥取大学医学部浦上克哉教授の研究で、アロマが認知症の改善に役立つとの事です。浦上先生の説明によれば、嗅神経と脳の海馬は直接つながっているので、アロマで嗅神経を刺激すれば海馬の機能が回復するとのことです。老人ホームなどで実際に使って見て効果が出ているとのこと。午前中はローズマリーとレモン(集中力を高め、記憶力を強化する刺激的な作用がある)、夜はラベンダーとスイートオレンジ(心や身体への鎮静作用がある)が良いとのこと。
参考ホームページ:浦上研究室、 NHKあさイチの放送、鳥取大学発ベンチャー(株)ハイパーブレイン、
鳥取大学発ベンチャー開発商品芳香浴用高級オーガニック・アロマオイル(精油)リ・ブレイン ...
富山大学の東田千尋准教授らのグループはヤマイモや長いもに豊富に含まれる「ジオスゲニン」がアルツハイマー病の原因とされる「βアミロイド」を70%も減少させ記憶が回復することをマウス実験で確かめた。ただ、人間では10KGのヤマイモを食べなければならず、早く同等の薬が出来る事が期待される。


■物忘れ防止

物忘れが進行するときは、性格が変わって、頑固になったり、怒りっぽくなったり、疑い深くなったりする。また、日常の挨拶が出来なくなる等の変化が出てくるので見逃さないことが大事。進行を防止するには脳を刺激する事が重要。
脳を刺激する。2~3歳の頃が一番神経細胞が多い。その後徐々に減る。死んだ細胞はそのままでは復活しない。物忘れ防止には脳に刺激を与える事が必要。そうすれば海馬の中の脳細胞も新しく出来る事が分かった。メモを取ったり、声を出して読み上げたりすると覚え直すことになるので記憶が定着し易い。外に出て花を観賞する等は特に良い。サラリーマンが定年後、自宅に閉じこもってテレビばかり見たり、テレビゲームをしていると呆けやすいので、趣味、運動、友人との会話などにより常に脳に刺激を与える事が重要。あれこれ趣味があって、友だちも大勢いるような意欲的な人はまず呆けない。呆けている暇はないとも言える。
単純計算問題を解く。5+7=12,7+8=15,15-9=6等の問題を出来るだけ早く解く練習をする。前頭前野が活発になる効果がある。
文章を音読する。上記の単純計算をやるのと同じ、脳の活性化効果がある。
山歩き、散歩、ストレッチなどの運動は物忘れを改善する。
ウオーキングが前頭前野を鍛える効果がある。(歩き終わった後に、歩いた道を地図に書いてみる訓練をすると更に前頭前野が活性化する)
手を握ったり開いたりするぐっぱ運動をやる。1日1回30秒。フリフリグッパ体操を1日10分やることで脳の前頭前野の活性化につながりボケ予防に効果があると言われる。頭は動かさず、腰を左右に突き出す感じで大きく振り、手を閉じたり開いたりする。筑波大学征矢英昭助教授の提唱によるものを茨城県利根町では積極的に取り入れて実行している。
包丁でリンゴの皮をむくような作業は大変脳を活性化する効果がある。
緑黄色野菜と背の青い魚を努めて食べると良い。
食事の際に、一口最低20回は噛む。出来れば30回噛む。噛むことで唾液が出ると脳が活性化される(NGFが出で脳の成長を促す)。
夕食後に一杯のリンゴジュースを飲む。脳の酸欠を防止する。
字を書く。手紙を書く。一日を思い出して日記をつけるのは頭の活性化になる。
朝食は、ご飯、みそ汁(豆腐、あげ入り)、海苔と卵、緑茶が良い。(カテキンは活性酸素の除去能力が高く記憶力向上に良い)[2003/2放送のおもいきりテレビより]
サンマ、カツオ、牡蠣、柿、茄子、ヤマブシ茸、イチゴが脳に良い。
血糖値が低すぎる人は脳の活性化に悪影響があるので、砂糖を適量摂取する。砂糖は昼食時などに撮るのが良い。
植木等の緑の香りは脳の疲れを解消する。
恋愛をすれば脳は活性化して物覚えが良くなる。
睡眠は6時間以上取る。ペンシルベニア大学の調査では、6時間以下の生活を長年続けていると記憶力が衰え、問題処理能力や情報処理能力がどんどん悪くなっていくと報告している。(2003.3.13発表)

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